あつカマ通信 vol.13

  今回のあつカマ通信は、今までで一番古い資料をご紹介いたします。 

  『主婦と生活 十二月号』 

  1953年(昭和28年)発行の雑誌です。

その名の通り、主婦向けの月刊誌であり、お料理や裁縫、家計のやりくり、はたまた岸恵子、片岡知恵蔵、新珠三千代ら当時のスタア達の動静、更には皇太子殿下(現在の上皇陛下)初の外遊秘話など盛り沢山の内容でございます。
時代を感じさせる広告の数々も、眺めているだけで楽しくなってきます。

  中でもラーメンカンパニーとして目を引くのが、「お米不足の解決法」と題した、色んな麺類の作り方を紹介した記事です。 

  本書の発行は、太平洋戦争が終わってから8年後であり、戦後の食糧難は脱していたと思われますが、前年の1952年(昭和27年)に大規模な食糧不作と輸入減があったようです。 

  「叉焼麺」は、とりガラからスープを取り、上等にするなら貝柱、こぶ、野菜をたくさん使う。しかし貝柱はお高いので、出汁を取ったら細かく刻んで、シューマイのタネにする。 
  麺は、小麦粉一貫匁に玉子六箇、落花生の粉と少しの塩、味の素を混ぜ合わせ、麺棒で縦横に伸ばして…といった具合にかなり本格的な作り方が、、、

ん?

  ついつい脱線してしまいましたが心配ご無用、ちゃんとあつカマ通信の注目記事があるのです。 
   昭和28年の雑誌ですので、ドラァグクイーンに関する記述は望むべくもないのですが、性差を越境して表現をする者として、日本で初めて男性から女性への戸籍変更が認められた永井明子さん(当時30歳)の寄稿文は、必見の内容でした。
三橋順子先生の著作で、そのお名前を初めて目にして以来、昔の記事を読んでみたいと思っておりました。 

   生い立ちから、思春期の苦悩、幾たびかの性別適合手術、初めての女装、そして最後には女性に生まれ変わった喜びが、情感豊かに綴られており、胸に迫るものがありました。 

  「主婦と生活」は、1993年(平成5年)に廃刊されました。
永井明子さんは1924年(大正13年)のお生まれで、ご存命なら100歳近いご年齢です。
道なき道を切り拓いた先人と、その功績に光を当てた研究者に敬意を表し、この項の終わりとします。

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